こんにちは。七宝です。
当ブログでもS&P500に連動するインデックス投資をすることが、多くの人にとっての最適解であるとしています。
なぜならS&P500とはアメリカを代表する優良銘柄500社にまるっと投資ができるからで、アメリカ経済の経済成長の恩恵を受けることができるからです。
インデックス投資のため手数料も割安で、少額からアメリカ全体に投資をすることができます。
10年前にS&P500に投資をしていれば3倍+配当金という凄まじいリターンになっていたのです。
過去10年間の平均リターンは10%近くにまでなっています。
しかし今回は少し違った考え方もしてみようと思います。
全ての資金をS&P500に投じていれば、本当にそれで安心なのでしょうか。
まあアメリカの500社の指数なので十分に分散が効いているのも事実ですし、私もS&P500に投じているしこれからも推奨していくので、S&P500が悪いというつもりは全くありません。
S&P500がここまで有名になった要因のひとつは、やはり「世界一の投資家であるウォーレンバフェットが妻へ『私が死んだ後は遺産の90%をS&P500に投資するように』と述べていた」というのが非常に大きいのではないでしょうか。
まず、説明しておきたいのは『S&P500』とはアメリカの株式の500銘柄を加重平均で計算したものです。
日本でいうところの『日経平均株価』や『トピックス』と比較的似ているものです。
『日経平均株価』は東証一部上場から225銘柄の修正移動平均、これのアメリカバージョンが『ダウ平均株価』です。
『トピックス』は東証一部上場の全銘柄の加重平均、これのアメリカバージョンが『S&P500』です。
なので基本的には『S&P500』と『トピックス』を比較することが多くなります。
下の図はよくある『トピックス』と比べて『S&P500』はこんなにすごいというよく見るグラフです。

このグラフを見ると『S&P500』は本当に優れているように見えますよね。
『トピックス』は90%に値下がって、『S&P500』は900%利益が出ているように見えます。
このグラフの大きな間違いとしては『トピックス』は円建て、『S&P500』はドル建てで計算されているのです。
私達日本人はほとんど日本円で生活しているので円建てで比べる必要があります。
円建てチャート
実は円建てで計算してみると、2014年以降は『S&P500』が伸びているものの、それ以前はそこまで大きくは変わらないことが分かります。
上記のグラフは1980年から40年のグラフですが、『トピックス』と『S&P500』を比べた時に大きく違うところは1989年のバブルの時です。
グラフを見ても分かるように1950年から30年間円建てで投資をしていれば『トピックス』の方が儲かっていることが分かります。
1950年から投資をしていると『トピックス』は550倍、『S&P500』は300倍の計算になります。
ものすごく長い期間で見ると『トピックス』の方が上回っています。
しかし1950年など私もまだ生まれてない時から比較したところであまり比較にならないと思うので、ここ10年や20年比較にしてみます。
すると、2000年くらいから考えると『トピックス』がどんどん下がっていっているのに対し、『S&P500』は7%~10%で上昇し、差が広がっています。
これが日本のバブル崩壊から失われた20年などと言われている要因です。
それを受けて『S&P500』の方がいいのじゃないかといった話が出てきたりしています。
全世界のグローバル企業がアメリカでは台頭しているが日本ではそういった企業が生まれにくく、ありません。
日本の企業はグローバル化せずとも、景気が低迷している中でも、日本で生き残れているので、グローバル化する必要もないのですが、グローバル企業がないのでそこで差をつけられてしまっています。
そうなると投資に国境はありませんから、『S&P500』の方がいいという考え方も間違ってはないと思います。
1980年から2000年まではバブル期だったので『S&P500』より『トピックス』がすごく高い時代でした。
そして2000年からの20年間は『トピックス』より『S&P500』がすごく高い時代でした。
これは今、アメリカがバブルという考え方もできないでしょうか。
もし今アメリカがバブルだったとしたらそのバブルが崩壊したらどうなるでしょうか。
今行けているから行くというのは投資の世界では高値掴みになることが多く、買った時にはすでに買い時ではない。
買った時はすでにピークだったというのはよくある話です。
将来は誰にも分からないので投資にはリスクが必ずあります。
では、バフェットの「90%をS&P500に投じなさい」と言っているのは間違っているのか、という話ですが、それが間違っているとは言いません。
それはウォーレンバフェットの立場での正解と、私達のおかれた立場での正解がまるで違うのです。
ウォーレンバフェットの正解が私達の正解となるとも限らないのです。
ウォーレンバフェットはアメリカ人でアメリカ国内に住んでいて米ドルで生活しているのです。
そこがまず違います。
米ドル建てで考えれば、アメリカ株式一辺倒になるという考え方もよく分かります。
そして勘違いしてはいけないのが、バフェットは遺言で妻に向けての最適解として『S&P500』に投じなさいと言ったわけであって、全世界の投資家に向けて『S&P500』に投じなさいと言ったわけではありません。
ウォーレンバフェットの資産というのは莫大です。
バフェットの資産は10の代でも使い切れないほど莫大です。
そう考えると、妻への遺言としては「米国債に投資して年率2%~5%くらいの利息をもらって生活しなさい」と書きそうなものですが、なぜバフェットがそれを選んでないのでしょうか。
それは、アメリカはずーっとインフレをしていて、ずーっと人口が増え続けていく中でアメリカ国債を30年、40年持っていることは選択肢になかったのでしょう。
なので将来のインフレのことを考え、妻やその次の代、そしてその次の代と資産が下りていくことを考えた時に、株式投資になるのでしょう。
それに残りの10%を現金で置いているので、10%といえども莫大ですから妻が困ることはありません。
よってこの先50年、100年先を見てもインフレも考えて株式投資を選ぶのは至極当然です。
しかし奥様はもちろん株式の銘柄選定はできませんから、悪い会社の入らないよう選定された『S&P500』に投じなさいということになるのです。
なのでバフェットが妻に対しての遺言として『S&P500』というのは大賛成ですが、今から資産形成を始める日本人も同じとは言えません。
『S&P500』はここ10年の平均利回りは7%を切ったことがありません。
日本のインデックスと比べても利回りが高かったことは間違いないですが、だからといって『S&P500』に集中しておけばいいというものでもありません。
リターンは確かに7%ですがそれはリターンしか見えていません。
もちろん投資なのでリスクもあります。
株式投資をするのに全力買いすればリターンが一番高くなるのに、全力買いせずにキャッシュポジションを残したり債券に分散するのはなぜでしょうか。
それはリスクを抑えるためではないでしょうか。
世界でバブルは1989年に初めて日本が経験しました。
それまではバブルなんて存在すらしなかったのです。
アメリカも日本も今後バブルに匹敵するような何かしらの経済的な出来事が起きないとは言い切れません。
『S&P500』においてもリターンの7%だけ見てリスクを見ないのは非常に危険だと思います。
将来というのは誰にも分からないのでリスク軽減で分散しましょう、となっている訳です。
なのでアメリカの好調な利回りの恩恵も受けながら、リスクも分散してバランスを取りましょう、というのが一番なのではないかと思います。
なので私は『S&P500』に投資しつつ、日本では個別銘柄に投資しています。
参考になれば嬉しいです。