こんにちは。七宝です。
企業が稼いだお金の一部を株主に還元する配当金。
配当金のリターンの事をインカムゲインと言います。
ちなみに株価上昇によるリターンの事をキャピタルゲインと言います。
配当金は投資をするにあたって見逃せない存在ですよね。
投資と聞くと、多くの人は「安い時に買って高い時に売る。または高い時に売って安い時に買う。」といったトレードを想像してしまいがちですが、本当の投資は株式を持ち続けて、企業の成長や利益と共にリターンを受けるものです。
私も売ったり買ったりを繰り返すことなく、毎年得られる配当金(インカムゲイン)を目的に投資をしています。
そうなると重要になるのが配当利回りです。
配当利回りは(配当金÷株価)で計算することができます。
配当利回り3%なら100万円の投資で年間3万円の配当金、5%なら100万円の投資で年間5万円の配当金ということになります。
一般的には配当配当利回り3.75%(配当には約20%の税金がかかり、税引き後3%になるため)以上の配当利回り銘柄を、高配当株と呼んでいます。
3.75%以上で十分高配当株なのに、中には配当利回り7%を超えるような超高配当銘柄も存在するのです。
そのひとつが『JT(日本たばこ産業)』です。

JTの2020年12月期の配当予想は1株当たり154円。
現在の株価が1950円ほどであることから配当利回りはなんと8%弱あるのです。

高配当株投資家で知らない人はいない高配当株を代表するような銘柄ですね。
では、なぜそんなに高配当なのでしょうか。
JTは言わずとしれたタバコ銘柄です。
昨今の禁煙ブームにより『タバコ』というもの自体が今後衰退していく他ないとの見られ方から、株式がどんどん売られています。
そのため株価はこちらのチャートを見ても分かる通り右肩下がりです。

しかしJTはM&Aで海外たばこ事業を拡大している他、食品・医薬品も展開しているため、しっかりと利益を出し続け、増配を繰り返してきたのです。(今期増配はストップ)
そのため株価は下落を続け、配当は増配を続けてきたことにより気付けば超高配当株と化していたのです。
しかし、その高配当に飛びつくことが私達にとって最善であるかどうかと聞かれればそれは非常に微妙なところでもあります。
では、ここからはJTに投資をするにあたっての不安要素をお話したいと思います。
JTの各種指標を見ていて一番引っかかっているのが配当性向の高さです。
下の図を見てもらえば分かる通り、配当性向は2020年12月の配当ですでに90%弱まで上がっています。

配当性向とは企業が稼いだ利益のうちの何%を配当金として株主に還元したのかを見る指標になります。
当たり前ですが基本的には配当性向が100%を超えることはありません。
配当金の原資は企業が稼いだ利益から出ているということを忘れずにしておきたいですね。
もし配当をこのまま維持し続けてくれたとしても高い配当性向を株主に返してしまっているので、自己投資する資金がないことから、今後企業が成長し株価が上がっていくことは考えづらいのです。
今後JTの利益が大きく上がらない限り増配余力は残っていないので、減配の未来も近いのかもしれません。
高配当が魅力の銘柄であるだけに、減配した時の株価の下落幅も計り知れないものもあります。
どちらにせよ高配当で配当金がもらえても株価がズルズルと下落していくのなら意味がないと考えております。
スワップ金利目的で高金利のトルコリラを持っていたら、スワップ金利以上に通貨の価値が減少してしまうという経験をしたことがあるので、それと似たようなものですね。
これらの理由から私がJTに投資をすることはありません。
もし、ただ単に高配当だけが理由で飛びついていた方がいらっしゃったら考え直してみた方がいいと思います。
これまではJT投資の懸念要素をお話しました。
ここからは上記のことを分かっていてもなおJTに投資ができる考え方もあるのでお話します。
JT投資家も馬鹿ではありません。
多くのJT投資家はそんなことは分かった上でJTに投資しています。
株価は下落中でありますが、それを差し引いても8%弱の高配当は魅力的です。
このまま企業が成長しなかったとしても今の利益を出し続けて今の配当を維持してくれていたら、年間8%弱以下の株価下落だとリターンはプラスになるのです(一旦税金は考えません)
そして配当さえ維持しているのにこのまま株価が下落すると、配当利回りはどんどん上がっていくのでさらに高配当になり、投資妙味が増して行くのです。
そうなると株価の下落はどこかで必ず止まります。
そしてJTはそう簡単に減配することができません。
なぜならたくさんの株式を財務大臣が持っているからです。

666,925,200株 | 33.35% |
これだけの株式を財務大臣が保有しているとなると減配しにくい想像が容易につきますよね。
いくら財務大臣が持っているといっても、配当を配る利益が出なかったら配当の維持のしようがないんですけどね。
このような足し算や引き算をした上でJTが投資対象になり得る、そう判断した人たちがJTに投資をしているのです。
正直、投資していよいのかダメなのか分からないですよね。
少なくとも私は長期的に増配、成長していくであろう銘柄に投資をするのでJTに投資をすることはありませんが、気になる人はJTに集中投資をせずにポートフォリオの一部をJTにしておくといったような分散投資をすると良いかもしれません。
参考になれば嬉しいです。